【不倫をした方】示談交渉ですべきこと・してはいけないことなど注意点を紹介

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弁護士 金井啓
金井啓
一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
不倫慰謝料に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。

不倫を理由に、妻や夫から慰謝料の支払いについて請求を受けることがあります。このとき、仮にご自身に非があることが確かだとしても、無制限に請求を受け入れる必要はありません。まずは不用意に請求を認めてしまわないこと、そして金額や支払い方法について交渉をする姿勢を持つことが大事です。

このように不倫を原因とする示談交渉ですべきことやしてはいけないことなど、注意点をここで紹介していきます。

証拠の有無を確認する

慰謝料の請求を受けたとしても、その事実を認めずに支払いを拒絶することは可能です。ただしその場合は最終的に訴訟にまで発展することになるでしょう。そこで配偶者が不倫についての証拠を持ち出してくると、「不倫をしていない」という主張だけで請求を退けることができず、敗訴して支払い義務が課されてしまうかもしれません。
そのため相手方がすでに証拠を押さえているのであれば、拒絶をしたところで結局支払いを避けられないどころか、印象を悪化させてしまい請求額が増額されてしまう危険があります。

そこで配偶者が証拠を持っているのかどうかを可能なら確認しておきましょう。
例えば不倫相手と一緒にホテルに出入りしているときの写真、不倫相手とのメッセージのやり取りなどが有力な証拠となり得ます。
配偶者が探偵事務所に不倫調査を依頼していたのかどうかも重要です。この場合は知らず知らずのうちに確定的な証拠が掴まれている可能性が高くなります。

不倫相手との関係をやめる

慰謝料の請求を受けたとき、その時点で支払いに応じないとしても、不倫相手との関係については終わらせておくべきです。示談交渉の末、慰謝料を支払うべきことが決まったとき、不倫をいつまでもやめていないという事実は慰謝料を増額させる一要因になってしまいます。
反省していないと評価されてしまいますので要注意です。

請求を無視しない

「支払いに応じない=請求を無視する」ということではありません。

無視をしてしまうと配偶者が感情的になり、対立関係が強まってしまう危険があります。また、「やはり反省していない」など悪印象を与えてしまうことで慰謝料が増額する危険も出てきます。
示談交渉で解決できた事案でも、いつまでも無視することで訴訟を提起されてしまい紛争が長期化してしまう可能性もあります。
最終的には無視し続けることで敗訴し、財産の差し押さえなどを受けることになるかもしれません。

そのため、求められたことすべてを受け入れる必要はありませんが、無視するのではなく話し合いの姿勢を見せるなど、何かしらの回答を行う必要があります。口頭やメールなどで請求を受けた段階ではそれほど焦って回答する必要はありませんが、内容証明郵便などで請求を受けたときは配偶者も本気になっていると思われますので、緊急で対応することが大事です。

落ち着いて丁寧に対処する

不倫がバレて配偶者から責め立てられたとしても、逆ギレをしてはいけません。感情的になって言い争うことも避けるべきです。感情を逆撫でするような発言も避けましょう。何も解決しないだけでなく、その後のご自身の立場を悪くしてしまいます。
そのため落ち着いて対応すること、丁寧な対応を心掛けることが大事です。「不倫をしたことについて言い逃れができない」「確定的な証拠を掴まれている」といった場合には素直に認めて反省の態度を見せることが大事です。
謝罪の意を示すことは慰謝料の金額にも影響してきます。

弁護士に相談する

不倫を原因とする慰謝料の請求を受けたときは、早急に弁護士に相談することがおすすめです。不倫問題を多く取り扱っている弁護士であれば、どんな場合にどんな対応をすべきか、どんなことに注意が必要か、ということをよく理解しています。

そのため一つひとつの注意点をご自身で調査して対応する必要はありません。また、法的な問題が絡むため、一般の方が対処することが難しい場面に直面することもあります。示談交渉の方法、適切な金額の評価、訴訟への対応など、弁護士がついていればご自身は安心して慰謝料請求の問題に取り組むことができるようになります。

弁護士に依頼をすることで、次のようなメリットも得られます。

  • 直接交渉を避けられる

「対面で自分の言い分を主張できる勇気がない」「上手く交渉できるか不安」といった場合でもすべて弁護士に任せることができる。相手と直接関わる必要がなくなるため精神的な負担も軽減される。

  • 慰謝料の減額が期待できる

配偶者の請求する金額は相場より高い場合、過去の裁判例も参照して適正な金額にまで減額するよう交渉してもらえる。

  • 早期解決が期待できる

当事者間だとなかなか話が進められないこともあるが、プロが間に入ることでスムーズに交渉が進みやすい。短時間で不倫問題を解決できる可能性が高まる。

ただし、依頼先の弁護士を探すときは「不倫問題についての解決実績の有無」に着目するよう注意しましょう。弁護士にもそれぞれ専門分野がありますので、不倫問題に強い弁護士を探すことが大事です。

示談交渉における注意点

一般的に「不倫をした」といわれるような状況だとしても、法的に慰謝料の支払い義務が認められるとは限りません。
提示された条件が適正であるとも限りません。このことに留意する必要があります。

慰謝料の支払い義務があるとは限らない

不倫を理由に慰謝料の請求が認められるのは、その行為が不法行為と評価されるときです。厳密には「不貞行為」と呼べるかどうかが重要であり、不貞行為は主に肉体関係があることで認められます。
そのため配偶者が「不倫をした」と認識していたとしても、それが法的に不貞行為と呼べなければ、ご自身は慰謝料の支払いを拒絶することが可能です。

とはいえ、肉体関係の有無だけが絶対的な指標ということでもありません。
社会通念上許されないほどの親密な関係にあったときは慰謝料請求が法的にも認められる可能性はあります。

また、不貞行為を理由に慰謝料請求をする前提として、夫婦関係が成り立っていなければなりません。
離婚はしていないものの、「長期間にわたって別居をしている」「すでに両者に離婚をしようという意思があって協議を進めていた」などの事情があるときは夫婦関係が破綻していると評価される可能性が高いです。
そうなると不貞行為があったとしても慰謝料の請求が認められなくなります。

慰謝料の金額が適切ではないかもしれない

「提示された慰謝料の金額が適切ではないかもしれない」という可能性も考えなくてはなりません。
示談交渉は当事者間で自由に内容を決めることができますので、相手方の言いなりになる必要はありません。

金額については、最終的に裁判で出される結論を参考にすると良いです。
もし相場に近い適切な金額であるときは、無理な減額を要求しても結局裁判でその主張を受け入れてもらうことは難しいです。
逆に相場からかけ離れた金額であるときは、相手方が減額要求を聞いてくれなくても裁判で減額を認めてもらえる可能性があります。
そのことを相手方に伝えれば余計な時間をかけずに示談交渉で決着をつけられるかもしれません。
なお、不倫における慰謝料のおおまかな相場は、数十万円~300万円です。

次のような事情を考慮して増額・減額が起こります。

離婚の有無不倫をきっかけに離婚もする場合は慰謝料の金額が大きくなる傾向にある。逆に離婚はせず関係性を修復する場合は減額される傾向にある。
元の夫婦仲元の夫婦仲が良い方が精神的なショックは大きいため、慰謝料の金額も大きくなる。逆に夫婦仲が悪く関係性が破綻しそうな状況にあったのなら、慰謝料の金額も小さくなる。
結婚生活の長さ長く安定的に結婚生活が続いていた場合の方が慰謝料の金額も大きくなりやすい。
不倫期間の長さ1度切りの関係や不倫期間が短い場合は慰謝料が減額されやすい。
不倫への積極性不倫をすることに対して積極的であったのか消極的であったのか、例えば自らマッチングアプリを使って不倫相手を探したのであれば積極性が認められて慰謝料の金額も大きくなりやすい。逆に断りにくい状況で不倫相手に誘われたという場合は積極性がなく、慰謝料の金額も小さくなりやすい。
反省の有無不倫発覚後の態度が悪いと慰謝料の金額が大きくなりやすい。反省をしているのかどうか、謝罪があったのかどうかが重要。

支払い方法(回数・期限)についても交渉は可能

金額に対する交渉だけでなく、支払い回数や支払い期限などに関しても交渉することは可能です。実際、「今すぐに300万円を現金一括で支払え」と言われても対応することが難しい方もいるでしょう。
このような場合は分割払いや支払期限を長めに設定してもらうなどの交渉を行いましょう。

ただし相手方に「全額きちんと支払ってもらえるのか不安」「いつまでも関係が繋がっているのか嫌だ」という気持ちがあるかもしれません。そのような場合はただ単に分割にして欲しいと自分の要望を伝えるだけでなく、心から反省していることを理解してもらい、償いたいという誠実さを見せることが大事です。

慰謝料の支払い以外に安易に応じない

慰謝料の請求に兼ねて、別の要求を相手方がしてくる可能性もあります。

例えば「退職をしないと会社にバラす」「引っ越しをしてこの町から出ていきなさい」といった要求です。
不倫をしたことで立場が悪くなっていますが、何でも受け入れるべきではありません。無理な要求には拒絶の意思を示す必要があります。場合によっては強要罪や脅迫罪など、犯罪が成立することもありますので、厳しい要求に困っているというときは弁護士に相談するようにしましょう。

示談交渉後の注意点

慰謝料の金額など、詳細の話し合いがまとまれば、その内容を示談書として文書にまとめましょう。また、約束をするだけでなくきちんと取り決め内容に従った履行をすることも必要です。
示談交渉を終えてからも注意すべきことはたくさんあります。

交渉内容を示談書にまとめること

示談交渉自体必須の手続ではありませんし、交渉内容を文書にまとめることも法的に必須とされていることではありません。しかし、後々「支払うべき金額は〇〇万円ではなく△△万円だ」「〇年〇月〇日までに支払うといったはずだ」などと約束と違うことを主張されるリスクがありますので、これを防ぐために取り決めた内容は形に残しておくべきです。
このときの文書を「示談書」と呼びます。

作成方法に指定はありませんが、少なくとも当事者が特定できること、慰謝料の金額や支払い方法などについては明記しておくべきです。示談書の作成について不安があるときは専門家に依頼すると良いです。

期日までに慰謝料を支払うこと

示談を終えてからは、約束通りに慰謝料の支払いを行いましょう。支払い期日に遅れてしまうことで遅延損害金が発生する危険があります。
そうなると支払うべき金額が増えてしまいます。

また、相手方からの信用を再び失うこととなり、強制執行を受けてしまうリスクも出てきます。自宅や自動車、給料の差し押さえなどを受けて財産を失うこともあります。

不倫相手との折半の検討

不倫の場合、慰謝料の請求者である配偶者に対し、不法行為を共同ではたらいたご自身と不倫相手の3者が当事者となります。そして共同不法行為の場合は行為者双方が賠償責任を負います。
そこで、仮に満額の請求をご自身が受けたときは、不倫相手に対して折半を求めることが法的にも認められます。具体的な請求額は過失割合(どちらの方が積極的に不倫の誘いをしたのか、などを考慮。)によりますが、必ずしもご自身が満額を負担しないといけないわけではありません。

そのため不倫相手への請求も検討します。ただし次は不倫相手とトラブルになる可能性もありますし、請求をするかどうかは弁護士の意見も聞いてよく考える必要があるでしょう。

横浜クレヨン法律事務所では・・・

浮気・慰謝料問題への対応に非常に力を入れています。婚姻関係の破綻が争点になった事例も数多く取り扱ってきました。

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