浮気相手に慰謝料を請求するには?法律の専門家が解説します

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弁護士 鈴木 晶
一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
不倫慰謝料に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。

不倫・浮気をしたことが原因となって慰謝料の支払請求をされたとき、その相手に謝罪して不倫・浮気の問題を早く清算したいと考えるものです。

しかし、不適切な謝罪をすることにより、紛争が拡大してしまったり、慰謝料金額が高額化したりしてしまうことがあります。

謝罪せず交渉についた場合と謝罪をして交渉についた場合とで、話し合いの内容にも変化が出てくるでしょう。

もっとも、謝罪をするといっても、方法はケースバイケースです。謝罪文を提出する場合やメールや手紙などに謝罪の意思を付記する場合、対面で謝罪する場合等から、相応しい手段を選択しなければなりません。

謝罪文においては不倫相手の配偶者から要求される場合もあります。

この記事では、不倫をした場合には、謝罪をするべきなのかどうか、及び、謝罪の方法や謝罪文の正しい書き方について詳しく解説していきます。

この記事でわかること
・謝罪をして慰謝料が減額になるケース
・不倫の謝罪文の正しい書き方
・不倫の謝罪文を書く際のメリット・デメリット
・不倫で謝罪をしない方が良いケース
・謝罪文以外に要求される可能性のあるもの

Table of Contents

1章目:不倫の謝罪による慰謝料への影響

不倫をした場合、謝罪をしなければならないという法的義務は生じません。謝罪するように要求されても、断ることは一応できます。

しかし、謝罪をしないと紛争が拡大してしまったり、慰謝料の金額が高額になる場合があります。ここでは不倫の謝罪による慰謝料への影響についてお話しします。

不倫相手からの謝罪

不倫相手から誠意のある謝罪があれば、少しは被害者の心も落ち着くはずです。

しかし、反対に不倫相手から感情を逆なでする不誠実な態度をとられる場合もあります。
不誠実な対応があれば、当然、被害者の精神的苦痛は増大します。

被害者の精神的苦痛が増大するのであれば、それは慰謝料の増額要因になるという考え方が基本になります。反省・謝罪といった加害者の態度は、被害者の心的な損害に大きく影響します。

心のこもった謝罪をした結果、慰謝料が「減額」されること、または、謝罪をしないことによって慰謝料が「増額」されるケースがあります。

不倫の謝罪で慰謝料が減額になる可能性

慰謝料の支払請求をされたとき、高額な慰謝料を請求しているものの、本当はきちんとした謝罪の意を示してほしかったということもあります。状況や相手の要望を十分に把握したのちに、心からの謝罪を行い交渉に臨めば、減額になる可能性もあります。

下記は不倫相手の謝罪が慰謝料の「減額」事由となった判例です。

【事例1】
「結婚期間は約1年9か月であり、本件不貞行為が行われるまでの期間でいえば、結婚期間は約1年3か月程度の比較的短期間であったこと、不倫相手は本件不貞行為について自己の非を認め、一応被害者(配偶者)に陳謝していることをもしんしゃくすれば、本件不貞行為による慰謝料としては70万円をもって相当であると認められる。」(東京地裁平成23年2月24日)

→不倫相手が被害者である配偶者に陳謝していることが、慰謝料算出(減額すること)に関し、考慮されていることがわかります。

【事例2】
「被害者(配偶者)との関係において、不法行為に当たることを、不倫相手は当初から自認し、謝罪の意思を表明している。」として、慰謝料の減額事由として考慮した。(東京地裁平成24年3月29日)

→不倫相手が当初から、不貞行為であることを素直に認めて謝罪の意思を表明していることを、評価して慰謝料の減額事由としています。

不倫の謝罪をしないことで慰謝料増額になる可能性

不倫相手が被害者(配偶者)に対して謝罪をしないことは、慰謝料の増額事由になり得ます。
自らの不貞行為を認めない、反省する態度が見られない場合は、より違法性が高いということでしょう。

下記は謝罪しないことが慰謝料の「増額」事由となった判例です。

【事例1】
「不倫相手から被害者(配偶者)に対する謝意は表明されていないこと~」(東京地裁平成23年3月17日)

→謝意の表明について触れています。

【事例2】
「本件訴訟においては、被害者(配偶者)から証拠が提出されるまで、自らの不貞の事実を否認する態度に出て、被害者(配偶者)の精神的苦痛を増大させたと認められる。」(東京地裁平成22年3月25日)

→明確に不貞の事実を否認する態度が、被害者の精神的苦痛を増大させていると言及しています。

2章目:不倫の謝罪文の書き方

不倫がばれてしまった場合、相手の配偶者から慰謝料を請求されるケースは非常に多いのですが、同時に「謝罪文」を求められる場合もあります。提出する場合、どのような内容を書くべきなのでしょうか?

日常生活で謝罪文を書くことなどまずないでしょう。そのため、書き方がわからずに悩まれる相談者がほとんどです。ここでは不倫の謝罪文の書き方について解説していきます。

不倫の事実を認める

謝罪文に最初に書くべき内容は、不倫の事実を認める文章です。
誰が、誰と、いつから、いつまで不貞関係を働いていたのか、明確にわかるように記しましょう。

謝罪の言葉

次に、不倫の事実に対する謝罪を記してください。自分が行った不貞行為で被害者に精神的苦痛を与えたという反省の気持ちを込め、誠意ある言葉を記す必要があります。

謝罪文において最も重要な部分となるため、ご自身の誠実な言葉で書くようにすると伝わりやすくなるでしょう。

不倫相手との関係を解消する誓約書

謝罪文には不倫関係の解消を誓約する内容も記載しておくべきです。
関係が解消されると知れば、被害者の気持ちが落ち着く可能性が高くなるため、文書の効果が発揮されやすくなります。

ポイント
相手夫婦が離婚するのであれば、不貞関係の解消・接触禁止の誓約は記さなくても良いケースもあります。離婚をすることになれば、被害者にとって配偶者の交際関係は一切関係のないことになるためです。

そのため、相手夫婦が離婚しないようであれば、不倫関係を解消する誓約を記しましょう。

慰謝料について合意する旨を記載

すでに慰謝料の請求を受けているなら、支払いに関する内容も記載可能です。不倫の謝罪文は慰謝料の請求と同時に要求されることが多く、すでに請求を受けている人も多いと考えられるため、慰謝料の支払いに合意する内容を記すことで、和解を得られる様になるでしょう。

慰謝料の請求を受けているなら、謝罪の文章とともに支払いに関する内容も記載することをおすすめします。

作成日時や住所などの署名

謝罪文の最後は、作成日時・作成者の住所・署名・押印で締めます。
作成日時等に関しては、一般的な契約書や誓約書と同じであるため、定例に従って作成してください。

3章目:不倫の謝罪文を書くメリット

ここでは不倫の謝罪文を書くメリットについて解説していきます。

妥当な慰謝料で合意してくれやすい

相手方の要求に応じて早い段階で謝罪文を出すことで、「真摯な態度で謝罪してくれた」と相手が気持ちを落ち着けて、ひいては妥当な慰謝料で合意してくれるという可能性は十分にあるでしょう。

早期解決に繋がる

不倫慰謝料に関するトラブルは、できる限り早い段階で解決したいものです。

早期解決で重要なのは当事者間での話し合いですが、交渉態度によっては冷静な話し合いが困難になることもあるでしょう。

また謝罪文を出さなかったことで、「まったく反省していない」と被害者の怒りをかい、うまくまとまるはずだった話が裁判にまで発展してしまうということはよくあります。

あなたの真摯な意思を謝罪文で相手に伝え、話し合いを円滑に進めることが早期解決へのカギとなることもあります。

不倫の再発防止につながる(不倫された側)

謝罪のための文章を記すということは、加害者にとって不貞行為を行ったという自分の非を全面的に認め、事実に対し反省し、被害者への謝罪を行うということです。
加害者とは言え、文書を認めることに抵抗感を持つ人は少なくなく、被害者から考えればペナルティと感じられ、不倫の再発防止につながるでしょう。

不倫の証拠を残せる(不倫された側)

謝罪文を書いてもらって納得すればそれ以上慰謝料を請求しないケースがあります。
しかし、後にトラブルが拡大するなどして状況が変わったら、「やっぱり不倫相手や配偶者に慰謝料請求したい」と考えるかもしれません。そのようなとき、不倫相手から差し入れられた謝罪文を裁判の証拠に利用できる可能性があります。

4章目:不倫の謝罪文を書くデメリット

謝罪文には、不倫被害者(慰謝料請求者)の怒りをしずめ、減額交渉をしやすくするというメリットがある一方で、デメリットもあります。

不倫の謝罪文を書くことで生じるデメリットについて解説していきます。

不倫の事実がない場合は認めてしまうことになる

不倫の事実がなく、弁護士を雇ってでも裁判で戦うことを望んでいるかたは謝罪文を出すべきではありません。謝罪をすれば、やってもいないことをやったと認めることになってしまいます

「謝罪文を書く」ということは、たとえ不倫の事実がなくても「不倫を認める」ということになります。慰謝料で揉めてしまった場合、提出した謝罪文は不倫の事実を明確に証明する強力な証拠になります。

裁判で不利になる

上記で触れたよう謝罪文は不倫をしたことの証拠になります。
裁判で不倫が認められるには、証拠が必要となります。

謝罪の中で、不倫したことを認める内容が含まれていると、裁判において証拠となってしまいます。

謝罪を証拠として出されてしまうと、後から謝罪の内容を争うことは難しく、不利となってしまうこともあるでしょう。

そのため、謝罪すべきかを慎重に判断したうえで、謝罪する場合には内容を吟味する必要があります。

被害者側からの要求が増える可能性

謝罪文を提出しても、それだけでは不倫問題が解決したことになりません。

謝罪文の「証拠」としての効力は、もちろん裁判の行方にも影響を与え、文書を書いた側が不利な立場を余儀なくされる可能性が高まります。

そのため、被害者側は有利な立場を利用し、慰謝料の増額などの要求をしてくる可能性も十分にありえるでしょう。

謝罪文を提出しようか迷われている場合は、法律の専門家のアドバイスを受けた方がいいでしょう。

謝罪によって精神的苦痛が増大する可能性(不倫された側)

謝罪文がテンプレートのような様式で簡潔な文章の場合、「本当に反省しているのか」と怒りが増します。

逆に、不倫の経緯が事細かに書かれていた場合も、知らなかった事実が新たに露見することで、精神的苦痛が増す可能性があります。

さらに配偶者から聞いていた事実とは異なったものが書いてある場合もあるかもしれません。そのことで、もやもやとした気持ちを抱える事となります。

このように、謝罪をさせることでかえって精神的苦痛が増す可能性もあります。

5章目:不倫で謝罪をしない方が良いケース

被害者から謝罪を求められても謝罪をすべきではないケースもあります。そのようなケースについていくつか見ていきましょう。

不倫関係が事実ではない場合

加害者が不倫をしていると思い違いをしており、不倫の事実がないにもかかわらず、謝罪を求めてくるケースもあります。

不倫が事実無根の場合は、謝罪すべきではありません。謝罪をしては不倫をしたことを認めることになってしまい法的責任を問われてしまう可能性があります。不倫は誤解であることを説明しましょう。

相手が既婚者だと知らなかった場合

近年では、マッチングアプリで知り合い、不倫相手が既婚者である事実を隠して交際を続けているケースがあります。

既婚者とは知らなかったときは慰謝料を支払う義務はありません。謝罪をすると自身の責任を認めたと思われるかもしれませんので、既婚者であることを知らず、独身であると思い込んでいたということを証拠とともに被害者に提示しましょう。例えばLINEのやりとり等です。

ただし、それでは被害者が納得しないこともありますから、既婚者とは知らなかったものの、結果的に不倫になってしまったことについて、その限りで謝罪することは検討の余地があります。

夫婦関係が破綻していると言われていた場合

不倫相手から夫婦関係が破綻していると聞かされていて、これを信じていた場合には、慰謝料の支払義務が否定されることがあります。

この場合に謝罪をすると自身の責任を認めたと思われるかもしれませんので、謝罪はすべきではありません。

ただし、結婚生活が破綻しているという不倫相手の言い分を鵜呑みにし、事実を確認しなかった場合は責任を問われる可能性もあります。

また、結果的に不倫になってしまったことについて、その限りで謝罪をすることは検討の余地があります。

6章目:不倫の謝罪文を書く上での注意点

謝罪文を書いて提出するとしても、内容や作成方法に充分配慮する必要があります。ここでは不倫の謝罪文を書く上での注意点を解説します。

後からの内容訂正ができない

不倫謝罪文は、一度提出してしまうと後から内容を訂正することや、内容を裁判で争うことは非常に難しくなります。

例えば、実際にはしていない事実を、相手の剣幕に負けて謝罪文を書いてしまった場合、謝罪文はあなたにとって不利な証拠となって残り続けます。

また記憶が不明確である場合には、日時や場所などあまり細かく記載しない方がいいでしょう。曖昧な記憶で詳細に書きすぎてしまっても、後から訂正することは難しいので注意が必要です。

感情的にならずに自分の言葉で伝える

不倫謝罪文を書く際の注意点2つ目は、自分の言葉で表現することです。
不倫謝罪文の目的は、あなたの誠意を相手に伝えることにあります。

感情的な謝罪文では、あなたの誠意を相手にきちんと伝えることは難しいのです。

そのため、できる限り謝罪文は感情的にならず、あなたの言葉で表現するようにしましょう。

特定記録郵便を使用する

不倫謝罪文を書く際の注意点3つ目は、特定記録郵便を使用することです。

特定記録郵便とは、郵便物を出した記録が残り、配達を追跡することができるサービスをいいます(※参考:特定記録|日本郵便株式会社。

郵便物の出した記録が残らない普通郵便などでは、万が一配達中に紛失した場合などに相手まで届いたか確認することができません。

そのため、謝罪文は特定記録郵便で出すことが望ましいでしょう。

7章目:謝罪文以外に要求される可能性のあるもの

被害者が、謝罪文を書く以外のことを要求してくることもあります。
しかし、被害者の要求にそのまま応じることは、後に慰謝料請求をされた場合に不利になるリスクがあるなど、注意が必要です。

謝罪文以外の要求についても、不倫の負い目があるからと言って、被害者の要求にそのまま応じる必要はありません。詳しく解説します。

念書へのサイン

「念書」とは、一般的に、当事者の一方が相手方に対して、一定のことについて約束・確認する書面のことを言います。被害者が、このような念書へのサインを求めてくる場合があります。

不倫慰謝料の場合の念書には、例えば、次のようなことを記載するよう求められることがあります。

  • 実際に不倫(不貞行為)の事実があったこと
  • 不倫の際に、相手が既婚者であることを知っていたこと
  • 不倫をした相手と二度と会ったり連絡を取ったりしないこと
  • 慰謝料として○○円払うこと

被害者からサインを求められた念書に書いたことを後から覆すことは難しくなることがあります。

このため、被害者から念書へのサインを求められたとしても、罪悪感やその場をどうにか穏便に済まそうという思いから、安易に念書にサインをするべきではありません。
いったん念書にサインをして認めてしまったことについて後から覆すことは難しくなることがあるため、今後の慰謝料減額交渉を見据えて、念書には基本的にサインをしないという対応をとるべきでしょう。

高額な慰謝料請求

不倫の慰謝料として1000万円請求されるなど、相場からかけ離れて法外に高額な慰謝料を請求されるという場合もあります。慰謝料の裁判上の相場は一般的におよそ数十万円~300万円だと言われています

請求された慰謝料の額が相場からかけ離れて高額だったり、自分では支払えないような額の慰謝料を請求されてしまった場合、慰謝料の減額交渉をすることもできます。

この場合、自分だけで減額交渉をするのが困難な場合、弁護士に相談・依頼しましょう。

8章目:まとめ

不倫において、相手方への謝罪文を提出すべきかどうかは、不倫の状況や相手方の考え方などによって異なります。
相手方の要求をそのまま飲み、自身が後々法律的に不利になりそうな謝罪文を提出してしまうことは絶対に避けるべきです。

弁護士であれば、そもそも謝罪文が必要か否か、必要であればどのような内容でいつ送付すべきかなど、法律の専門家の視点からアドバイスが可能です。

もちろん、弁護士ならば不倫の謝罪文だけでなく、慰謝料についての示談交渉なども引き続き対応が可能です。
不倫についての慰謝料の減額交渉でお困りの方は、ぜひ一度横浜クレヨン法律事務所にご相談ください。

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浮気・慰謝料問題への対応に非常に力を入れています。不倫謝罪文を要求されたケースも数多く取り扱ってきました。

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