浮気の慰謝料相場はいくらなの?法律の専門家が解説します

「浮気の慰謝料の相場はいくらくらいになるのでしょうか?」
といったご相談を受けるケースが少なくありません。

浮気されたら、配偶者や浮気相手に慰謝料を請求できます。その際、「相場の金額」を知らないといくらを請求して良いかわからないでしょう。相場を把握していなかったら相手が不当に低い金額を提示したとき、気づかず合意してしまうリスクも発生します。

今回は浮気の慰謝料相場や高額になりやすい事例、請求する手順など慰謝料請求に必要な知識を弁護士が解説します。

夫や妻に浮気されてお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

目次

第1章 浮気・不倫の法律上の定義とは?

一般的に「浮気(不倫)されたら慰謝料を請求できる」と思われているケースが多いのですが、法律的な「不貞」と一般的な「浮気・不倫」はニュアンスが異なります。
配偶者や不倫相手に慰謝料請求するには、法律上の「不貞」が成立しなければなりません。
そこで「不貞」の定義を確認しましょう。

不貞とは、配偶者のある人が配偶者以外の人と肉体関係を持つことを意味します。

1-1.結婚が条件

不貞といえるためには結婚している必要があるため、婚姻前の彼氏彼女の段階では浮気されても慰謝料が発生しません。ただし婚姻届を提出していない「事実婚(内縁関係)」でも慰謝料は発生します。

1-2.肉体関係が必要

次に「肉体関係」が必要です。親しく交際していても肉体関係に至っていないプラトニックな関係なら、基本的に慰謝料が発生しません。
たとえば夫が知らない女性と親しくLINEでメッセージを交わしてデートなどしていても、肉体関係を持っていなければ慰謝料請求できない可能性が高いといえます。

1-3.肉体関係がなくても慰謝料が発生するケースも

一方で、肉体関係がなくても慰謝料が発生するケースがあります。それは、配偶者がありながら別の異性と社会的に相当な程度を超えて交際しており、平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した場合です。つまり肉体関係がなくても非常識なまでに親しく交際していたら、慰謝料が発生する可能性があります。
ただし肉体関係がない場合の慰謝料額は少額になります。

第2章 浮気・不倫の慰謝料請求ができる4つのパターン

次に浮気や不倫の慰謝料請求ができる状況は、以下の4つに分けられます。

2-1.不倫によって婚姻関係が破綻したケース

1つは浮気・不倫が原因で夫婦関係が破綻してしまうパターンです。
浮気が発覚すると、被害者側は相手方に対する信頼を失います。浮気した側が浮気相手にのめり込んで離婚を希望するようになるケースも少なくありません。
そういったケースでは不倫が原因で夫婦関係が破綻してしまい、離婚に至るケースも多々あります。
こういった状況となると、慰謝料の相場は高額になる傾向がみられます。

2-2.別居状態になったが婚姻関係は破綻していないケース

離婚には至らなくても夫婦の婚姻関係が破綻しないケースもよくあります。
不倫されても相手に未練がある、経済的な事情、子どものためなどのさまざまな理由により、離婚はしないのです。
ただ夫婦としての同居は難しくなって冷却期間を置くためなどに別居します。
このパターンの場合にも慰謝料の相場はそれなりに高額になります。

2-3.夫婦関係を修復したケース

浮気や不倫が発覚しても夫婦関係が破綻せず、もう一度やり直すケースです。
同居は継続したままで、不倫相手との関係を清算します。
このパターンの場合、慰謝料額の相場は低くなります。

2-4.肉体関係はないが親密関係があり交際していたケース

浮気・不倫といっても肉体関係に至っていない場合が少なくありません。
肉体関係がなければ法律上の不貞にならないので、原則的に慰謝料は発生しないはずです。
ただし先述のように、肉体関係がなくてもあまりに親密な交際をしていると、夫婦が平穏に生活する権利が害されてしまいます。そこで少額な慰謝料は発生する可能性があります。
この場合の慰謝料相場は肉体関係がある場合と比べて大幅に低くなると考えましょう。

2-5.浮気・不倫でよくあるパターン

浮気や不倫をされるとき、以下のようなパターンがよくあります。
配偶者が怪しい言動をとっているときには注意してみてください。

  • 会社の上司部下や同僚と不倫する
  • サークル活動などで知り合った人と不倫する
  • 子供の学校の関係で知り合った人(他の保護者など)と浮気をする
  • 出会い系サイトやアプリを通じて知り合った人と不倫する
  • 同窓会で再会した人と不倫関係になる
  • 単身赴任中に配偶者の目が届きにくいので別の人と不倫関係になる

2-6.浮気や不倫が発覚するきっかけや浮気している人の行動パターン

浮気や不倫が発覚するきっかけとして多いのはどういったことなのでしょうか?
よくあるきっかけや浮気している人の行動パターンをお知らせします。

・スマホの情報から発覚するケースが多い

浮気が発覚する原因として多いのが、スマホの情報です。
「夫(妻)の言動がおかしい」と感じると、まずはスマホの中身を見てみるものです。そのとき、LINEで交際相手と会話していたり、性交渉をしているときの動画や画像が保存されていたりして不倫が発覚します。

・スマホの情報以外で浮気が発覚するきっかけ

他にも、以下のようなことがきっかけで不倫が発覚する例があります。

  • 急に残業や休日出勤が増えて家に帰ってこなくなる
  • スマホを肌身離さず持ち歩くようになる
  • 長時間誰かと電話で話すようになる
  • 自動車のGPSデータから不倫が発覚する
  • クレジットカードの明細書で不明な引き落としがあって不倫が発覚する
  • 自宅に浮気相手を連れ込んでいるところで遭遇する
  • 家出してしまう
  • 急に態度が冷たくなる
  • 理由なく突然「離婚したい」と言い出す

配偶者が上記のような態度をとっているなら不倫している可能性があります。心配なら事実を調査し、証拠の収集を進めましょう。

第3章 浮気・不倫の慰謝料請求ができない4つの状況

配偶者が浮気・不倫しているように思えても、以下のような状況であれば慰謝料は請求できません。

3-1.夫婦関係が破綻していた

不倫が始まったとき、すでに夫婦関係が破綻していたら慰謝料は請求できません。
慰謝料が発生するには「不倫があったために被害者が精神的苦痛を被った」という因果関係や損害の発生が必要だからです。
不倫が始まったときにすでに夫婦関係が破綻していたなら「不倫によって夫婦関係が破綻した」とはいえません。不倫されたとしてもさほど大きな精神的苦痛を受けないでしょう。
そこで損害も発生せず因果関係もないので、不法行為になりません。

不法行為とは
故意や過失によって被害者に損害を発生させる行為。不法行為者(加害者)は被害者へ損害賠償をしなければなりません。不貞も一種の不法行為であり、慰謝料は損害賠償金の一種です。不倫で慰謝料が発生するには不法行為が成立する必要があります。

たとえば不倫が始まった時点で夫婦関係が破綻して別居状態になっていたケース、離婚協議や調停が進んでいたケースなどでは、配偶者に浮気されても慰謝料を請求できないと考えましょう。

3-2.配偶者と浮気相手のどちらかから十分な慰謝料を受け取っている

配偶者が浮気しても、すでに十分な慰謝料を受け取っていたらそれ以上の請求はできません。このことは、「配偶者か不倫相手のどちらかから慰謝料を受け取ったケース」で問題になりやすい傾向があります。

不倫の慰謝料は、配偶者にも不倫相手にもどちらにも全額請求できます。不倫は配偶者と不倫相手の2人で行う共同不法行為であり、共同不法行為者の債務は「連帯債務」になるからです。ただ、2人からそれぞれ全額を払ってもらえるわけではありません。どちらかから全額の支払いを受けたら、他方へは請求できなくなります。

そこで、配偶者と浮気相手のどちらかから全額の慰謝料を受け取ると、他方へはそれ以上の慰謝料を請求できなくなるのです。
たとえば離婚の際に配偶者から多額の慰謝料を受け取ると、離婚後に不倫相手へ慰謝料請求できなくなる可能性があります。反対に、不倫相手から高額な慰謝料を受け取った場合、配偶者へ請求できる慰謝料額が大きく減額されたり請求できなくなったりする可能性もあります。

3-3.相手が不貞行為を否定して証拠もないケース

不倫で慰謝料請求するには、基本的に証拠が必要です。証拠がないのに慰謝料を払ってほしいといっても、通常相手は拒否するためです。
ただし証拠がなくても相手が不倫を認めて任意に払うなら、慰謝料を受け取れます。

証拠不足によって慰謝料を請求できないのは「相手が不貞行為を否定している・慰謝料を払わないと言っている」ケースにおいて証拠がない場合といえるでしょう。

3-4.慰謝料請求権が時効になっているケース

浮気慰謝料の請求権には「時効」があります。
時効が成立してしまったら、慰謝料は請求できません。

浮気慰謝料の時効は以下の状況になると成立します。

  • 被害者が浮気の事実と浮気相手を知ってから3年間が経過
  • 被害者が浮気の事実や浮気相手を知らなくても、浮気があってから20年が経過

浮気の事実を知らなければ浮気慰謝料の時効は進行しないので、①の時効は進行しません。
浮気相手が不明な状況でも同じです。

いずれにせよ、事実関係が明らかになったときに浮気慰謝料を請求したいなら、なるべく早めに請求すべきといえるでしょう。

第4章 浮気・不倫慰謝料の相場は

浮気や不倫慰謝料にはいろいろなパターンがあり、それぞれにおいて相場の金額が異なります。
以下では浮気・不倫慰謝料の相場の金額をパターン別にみてみましょう。

4-1.夫婦が離婚した場合

夫婦が離婚してしまった場合、被害者の受ける精神的苦痛は大きくなります。子どもがいたら子どもの生活にも影響を与えてしまうでしょう。そこで夫婦が離婚すると慰謝料額の相場は高額になります。裁判した場合の浮気慰謝料の相場は100~300万円程度です。

4-2.夫婦が別居した場合

夫婦が別居すると、慰謝料額はやはり高額になります。
ただし離婚に至っていなければ、離婚する場合よりは低くなる傾向もみられます。
相場としては100万円以上にはなるでしょう。

4-3.夫婦関係を継続する場合

夫婦関係が修復された場合、被害者の受ける精神的苦痛が小さいと考えられるので慰謝料額は低額になります。
多くのケースにおいて浮気慰謝料額の相場が100万円以下となるでしょう。

4-4.肉体関係がない場合

肉体関係がないけれども不相当に親密な交際を行い平穏な夫婦生活を送る権利を侵害した場合の慰謝料額の相場は基本的には0円で、多くとも50万を超えることはないと考えてよいでしょう。
この場合、夫婦関係が破綻したとしても慰謝料額の相場は低額になります。
法律上の不貞はあくまで「肉体関係」を前提としており、肉体関係がない以上は不法行為の悪質さが低いと言わざるを得ないためです。

不倫相手に慰謝料請求するときや慰謝料額についての交渉を行う際には、上記の不倫慰謝料の相場を意識しましょう。

第5章 浮気慰謝料の相場に影響を与える要因とは?

浮気慰謝料の相場には、以下のような事情が影響します。
浮気慰謝料が高額になりやすい状況や低額になりやすい状況を確認しましょう。

5-1.結婚生活に関係する要素

慰謝料の相場に影響を与える事情の中でも「結婚生活」に関係する事情をみてみます。

・婚姻期間、年数

夫婦の婚姻年数が長い場合、慰謝料額は高額になります。
婚姻年数が長い場合、相手に対する信頼も強く、裏切られたときのショックが大きくなるからです。
たとえば1~3年程度であれば慰謝料額の相場は100~150万円程度ですが、3~10年程度なら慰謝料の相場が150~300万円程度となり、婚姻年数が10年を超えると慰謝料額の相場は3~10年の場合よりも増額になります。

・不倫開始時の夫婦関係

不倫開始時における夫婦関係も慰謝料額に影響します。
不倫が始まった段階で夫婦関係が円満だった場合、不倫によって関係を破壊されると被害者の受ける精神的苦痛が大きくなるでしょう。慰謝料の金額は高額になります。
一方、破綻までしていなくても相当程度悪化していたら、不倫されてもさほどのダメージは受けません。慰謝料額は低額になる傾向があります。

・未成年の子どもがいるかどうか

夫婦の間に未成年の子どもがいると、浮気慰謝料の相場が上がる傾向がみられます。
不倫によって親が離婚すると子どもの生活や心境にも大きな悪影響を及ぼしてしまうためです。

・未成年の子どもの人数

未成年の子どもの人数が多い場合、不倫によって影響を受ける人が多くなるので慰謝料額の相場が上がります。

5-2.社会的地位や収入・資産状況

当事者の社会的地位や収入資産の状況も浮気慰謝料の金額へ影響を与える可能性があります。

・配偶者や浮気相手の社会的地位

不倫した配偶者や浮気相手の社会的地位が高い場合、慰謝料の相場は高額になりやすい傾向があります。
社会的地位が高いとその分、分別を持って行動すべきと考えられるからです。
同様の理由で年齢が高い場合にも慰謝料相場が上がる可能性があります。

・配偶者や浮気相手の資産・収入

不倫した配偶者、浮気相手の収入が高い場合、資産が多い場合など経済的に豊かな場合にも慰謝料額が上がる傾向があります。
経済力があるのに低額な慰謝料しか認められなければ、損害賠償金を支払わせてもペナルティにならないからです。

・不倫された配偶者(被害者)の経済力

不倫された配偶者(被害者)の経済力が低い場合、慰謝料額は高額になりやすい傾向があります。
経済力がないのに配偶者に不倫されると不安が大きくなりますし、離婚したら生活に困ってしまう可能性も高いからです。

5-3.被害者の状況

浮気された被害者の状況も慰謝料額へ影響を与えます。

・被害者の経済力

浮気された被害者が仕事をしていないなど、経済力が低い場合には慰謝料額が高くなります。経済力がないのに配偶者に不倫されると不安が大きくなるからです。

・被害者が職を失ったか

不倫により、被害者が職を失ってしまうケースがあります。

  • 配偶者の不倫に悩んで仕事が手につかなくなり辞めてしまうケース
  • 配偶者と不倫相手と同じ職場なので居心地が悪く続けられなくなるケース
  • 不倫に悩んでうつ病になり、仕事を続けられなくなるケース

被害者が職を失うと精神的苦痛が大きくなるので、慰謝料額は上がります。

・被害者が病気になったか

配偶者の不倫によって被害者が病気になる事例もあります。典型的な病気は「うつ病」です。
被害者がうつ病などの病気になると精神的なダメージが大きくなるので慰謝料額は高額になります。

5-4.浮気の状況や浮気相手との関係

「浮気の状況」や「浮気相手との関係性」によっても浮気慰謝料の相場が変わるので、みていきましょう。

・浮気の期間

浮気の期間が長くなると、慰謝料額は上がります。
一般的に期間は短いより長い方が悪質といえ、被害者の受ける精神的苦痛も大きくなるからです。

・浮気の頻度

配偶者と浮気相手が多数回会っていたなど、浮気の頻度が高い場合には慰謝料が増額されやすい傾向があります。

・家庭生活へ与えた影響の度合い

浮気による家庭生活への影響が大きいと慰謝料額は上がります。たとえば浮気が始まってから配偶者が高い頻度で家をあけるようになって家庭生活を放棄した場合などです。
反対に、浮気してもそれまでと同様に家庭生活を送っていた場合などには慰謝料は低額になる傾向があります。

・生活費を使い込んだかどうか

浮気すると、生活費をデート代やプレゼント代などにつぎ込んでしまう方が少なくありません。生活費を使い込まれると夫婦生活へ与える悪影響が大きくなるので、慰謝料額が上がります。

・家出したかどうか

浮気すると、家出してしまう人も少なくありません。
家出されると被害者は大きな精神的苦痛を受けるでしょう。また家出は「悪意の遺棄」となり、それだけで慰謝料が発生する要因となります。
また不倫すると、配偶者へ生活費を払わなくなる人もいます。生活費の不払いも悪意の遺棄の一態様です。

悪意の遺棄
夫婦関係が破綻してもよいという認識のもと、配偶者を見捨てる行為。

浮気した配偶者が家出をしたり生活費を払わなくなったりすると、慰謝料額は高額になります。

・暴力や暴言、モラハラ行為があったか

不倫すると、配偶者に暴力を振るったり暴言を吐いたりし始める人が少なくありません。
もともとモラハラ傾向のあった人は、さらにモラハラ度合いが強くなることもあるでしょう。

暴力や暴言、モラハラ言動があると、ないケースよりも被害者が受ける精神的苦痛が大きくなるので慰謝料の相場も高額になります。

・浮気に積極的だったかどうか

浮気に積極的だった場合には慰謝料額が上がる傾向があります。
たとえば浮気相手の方から積極的に浮気を誘った場合、当初から既婚者と知っていたのに執拗に浮気関係を誘った場合、夫婦関係を壊すために積極的に嫌がらせを繰り返した場合などには慰謝料が上がりやすくなります。

・誠実に対応したかどうか

浮気が発覚した後の対応も慰謝料額に影響を及ぼします。
認めて謝罪する、慰謝料の支払いを提示するなど誠実に対応すれば、慰謝料額は低くなるでしょう。一方で「不倫していない」と強弁したり不誠実な対応をとったりすると、慰謝料は上がる傾向がみられます。

・妊娠したかどうか

浮気相手の女性が妊娠した場合には被害者である妻が受ける精神的苦痛が大きくなるので慰謝料額が上がります。
浮気したのが妻の場合、妻が妊娠すると夫の受ける精神的苦痛が大きくなるので慰謝料額が上がります。

第6章 慰謝料が高額になりやすい事例

以下のようなケースでは、慰謝料が高額になりやすいといえます。

【事例】

Aさん(夫)とBさん(妻)の夫婦関係はもともと円満で、夫婦には3人の子ども(14歳、10歳、7歳)がいました。婚姻年数は20年になり、Bさんは専業主婦です。夫は大手上場企業の会社員で給料は高額でした。
ところがAさんが浮気して急に態度が変わり、家にあまり帰ってこなくなりました。Aさんは浮気相手と週に3、4回以上会っており、頻繁に浮気を繰り返していました。ある日AさんはBさんへ「離婚したい」と言ってきて、突然のことに驚いたBさんが拒否するとBさんへ暴力を振るうようになりました。そして最終的には家出をして生活費も払わなくなってしまったのです。
後日、浮気が発覚してもAさんと不倫相手は「浮気なんてしていない」と言って浮気を認めず謝罪もせず、Bさんへ慰謝料も払おうとしませんでした。

【解説】

本件では以下のような要素があるため、慰謝料額が高額になります。

  • 夫婦関係がもともと円満だった
  • 婚姻関係が長い
  • 3人の未成年の子どもがいる
  • 妻が専業主婦で収入がない
  • 夫の態度が急変して家出をし、生活費も払わなくなった
  • 妻へ暴力を振るった
  • 浮気が発覚した後の対応が不誠実

具体的な慰謝料額としては、200~300万円となるでしょう。

第7章 慰謝料が減額されやすい事例

次に浮気慰謝料の金額が低額になる事例をみてみましょう。

【事例】

CさんとDさんは結婚して半年の新婚夫婦で、子どもはいません。しばらくは夫婦だけで暮らそう、と言って2人だけで暮らしていました。ただ結婚後にお互いの生活習慣や考え方が合わないのでぶつかることが増え、夫婦関係は次第に悪化していきました。
そんな中、Dさんは同窓会で再会した元彼と浮気してしまったのです。浮気の回数は3回だけで、自分から別れて関係を清算しました。浮気が発覚し、Cさんは浮気相手の男性に慰謝料請求をしました。Dさんと浮気相手は浮気を認めて謝罪し、高額にはならないが慰謝料も払うと言っています。
CさんとDさんは離婚せず、これをきっかけにもう一度夫婦をやり直そう、と話しています。

【解説】

この場合、以下のような事情があるため慰謝料額は低額になります。

  • 夫婦の婚姻年数が短い
  • 浮気の期間が短い
  • 浮気の回数が少ない
  • 夫婦に子どもがいない
  • 浮気がはじまったとき、夫婦関係が円満ではなかった
  • 浮気が発覚した後、浮気相手やDさんが誠実に対応している
  • 浮気があっても夫婦関係が破綻せず修復しようとしている

慰謝料額は100万円にはならず、数十万円程度となるでしょう。

第8章 浮気・不倫の慰謝料を証明するために有効な7つの証拠の例

浮気や不倫の慰謝料を請求するには「証拠」が必要です。証拠がなかったら、慰謝料を請求しても「不倫していない」と拒否されて失敗してしまう可能性が高いからです。
慰謝料請求をするために、事前にしっかり「配偶者と浮気相手の肉体関係がわかる証拠」を集めておきましょう。
裁判するときだけではなく示談(話し合い)で解決する際にも証拠は必要です。

以下で有効な証拠の例を7つ、ご紹介します。

8-1.浮気相手との肉体関係がわかる写真や動画

まずは浮気相手との肉体関係が直接わかる写真(画像)や動画などは非常に有効です。
こういったものがあると、それだけで不貞の証拠として十分でしょう。
配偶者のスマホやPC内に保存されているケースが多いので、一度調べてみてください。

8-2.浮気を認めた自認書や音声データ

浮気相手や浮気した配偶者が、自ら浮気を認めた証拠も有効です。
たとえば浮気を認める自認書や音声データなどが典型となります。
自認書を書かせるときには「いつ頃からいつ頃までの不貞関係なのか」「肉体関係をもったこと」をしっかり書かせましょう。
曖昧な記載になっていると証拠として弱くなってしまうので、適切な内容に仕上げる必要があります。自認書の書かせ方がわからない場合には弁護士までご相談ください。

8-3.LINEやメール、SNSのDMなど

浮気相手とのLINEやメール、SNSのDMなどの記録も不倫の証拠になります。
ただし肉体関係が直接わからないものの場合、証拠としての力は低くなります。

8-4.出会い系アプリやサイトでのやり取り

出会い系アプリやサイト上で浮気相手と知り合った場合には、そういったアプリやサイトを介したやり取りの記録も浮気の証拠になります。できるだけ肉体関係を直接証明できるものを探しましょう。

8-5.頻繁に長時間会話している通話記録

深夜に頻繁に長時間会話しているなど、不自然な通話記録があれば浮気を間接的に推測できる資料になります。自分が親回線を契約していたら、子回線の通話記録を取れる可能性があります。携帯電話会社へ問合せをしてみましょう。

8-6.ホテルの利用履歴やレシート

ホテルや旅館の利用履歴やレシート類も浮気の証拠になります。ただしシティホテルなどの領収証には申込者名と利用人数しか記入されないケースも多く、「浮気相手と一緒に利用した」事実を証明しにくいので証拠力は弱くなります。

8-7.探偵による浮気調査報告書

自分では浮気の証拠を集めきれない場合、探偵事務所や興信所に依頼して浮気調査を行いましょう。浮気の調査報告書にしっかり浮気現場が記録されていたら、調査報告書が有効な浮気の証拠になります。
ただし探偵に依頼すると、高額な費用が発生するケースが少なくありません。相手に調査費用の全額を請求できるとも限らないので、良心的な探偵事務所を選定しましょう。

第9章 浮気・不倫の慰謝料を請求する流れ

浮気や不倫慰謝料を請求するときにはどのような流れになるのでしょうか?
配偶者と離婚する場合と離婚せずに不倫相手に慰謝料請求する場合の2パターンに分けて慰謝料請求の流れをご説明します。

9-1.離婚する場合

離婚問題を弁護士に依頼するメリットとしては、次の利点があげられます。

・配偶者と話し合って離婚条件を取り決める

決めるべき条件は以下のとおりです。

  • 慰謝料の金額
  • 財産分与
  • 年金分割
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

・離婚協議書を作成する

合意ができたら「離婚協議書」を作成しましょう。ここには話し合ってまとまった離婚条件を記載していきます。文面ができたら夫婦双方が署名押印し、2通作成して1通ずつ保管しましょう。

・公正証書化する

離婚協議書は公正証書にしておくのがおすすめです。そうすると、相手が支払わないときにすぐに預金や給料などを差し押さえられて便利だからです。

・離婚届を提出し、慰謝料の支払いを受ける

離婚協議書ができあがったら「離婚届」を作成しましょう。
役所へ提出すると離婚が成立します。
約束とおりに慰謝料の入金を受けると、不倫の慰謝料の回収は完了です。

・合意できない場合には調停を申し立てる

配偶者と話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所で離婚調停を申し立てましょう。
配偶者と不倫相手の両方を相手方として離婚調停を進めることも可能です。

・調停が成立しないときには離婚訴訟を提起する

調停も不成立になってしまったら、家庭裁判所で離婚訴訟を提起しましょう。
配偶者と不倫相手の両方を被告(相手方)として離婚訴訟を申し立てることも可能です。
裁判で不貞を立証できれば裁判所が相手方らへ慰謝料の支払い命令を出してくれます。

9-2.夫婦関係を継続して浮気相手に慰謝料を請求する場合

配偶者と離婚せずに夫婦関係を継続し、不倫相手にのみ慰謝料請求する方法は以下のとおりです。

・内容証明郵便などで請求書を送る

まずは不倫相手に内容証明郵便などで慰謝料の請求書を送りましょう。

・交渉する

請求書が相手に届いたら、慰謝料についての交渉を行います。金額や支払い方法などを取り決めましょう。今後配偶者と接触しないとする接触禁止条項や違約金条項なども定められます。

・合意書を作成する

慰謝料について合意ができたら「慰謝料支払いについての合意書」を作成しましょう。
分割払いにするケースなど、支払いに不安があれば公正証書にするようおすすめします。

・慰謝料の支払いを受ける

合意書ができたら、約束とおりに入金されるかチェックしましょう。支払いがあれば慰謝料の回収は完了です。

・合意できない場合には慰謝料請求訴訟を起こす

話し合っても合意できない場合には、裁判所で慰謝料請求訴訟を起こしましょう。
不貞を立証できれば裁判官が支払い命令の判決を下してくれます。

なお離婚後に元配偶者へ浮気慰謝料を請求する場合にも、基本的にこちらと同じ流れになります。

第10章 浮気・不倫の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとは?

不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼するとさまざまなメリットがあります。
以下で具体的にみていきましょう。

10-1.慰謝料の相場を確認できる

不倫慰謝料を請求する際には、慰謝料の相場についての知識が必要です。しかし具体的にいくらの慰謝料を請求してよいかわからない方も多いでしょう。

弁護士に相談するとケースごとに妥当な慰謝料の金額を教えてもらえます。相手から金額の提示があったときも受けるべきか断るべきか適正に判断できて、不利益を受けずに済むでしょう。慰謝料の相場を確認できるのは大きなメリットといえます。

10-2.証拠を集めやすくなる

不倫慰謝料を請求するには証拠が必要です。ただ自分だけではどういった証拠が役に立つのかわからない方が少なくありません。
弁護士に相談すると、証拠の集め方についてもアドバイスを受けられます。
後に証拠不足によって慰謝料を払ってもらえなくなるリスクを軽減できるのもメリットとなります。

10-3.不倫相手を特定できることも

不倫されても不倫相手が誰かわからないケースが少なくありません。
携帯電話番号やLINEアカウントのみが判明していて氏名や住所がわからないケースなどです。
そのようなとき、弁護士に相談すると弁護士法23条照会という方法で不倫相手に関する情報を調べられる可能性があります。不倫相手を特定できることも弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

10-4.適切な方法で請求を進められる

不倫慰謝料を請求するときには、暴行や脅迫などの違法行為をしてはなりません。
相手に腹を立てたからと言ってネット上に悪口を書き込むと名誉毀損や侮辱罪が成立してしまう可能性もあります。

弁護士に相談しながら行動すれば、こういった違法行為をしてしまうおそれはほぼありません。適切な方法で慰謝料請求を進められるのも弁護士に相談・依頼するメリットの1つです。

10-5.早期解決

自分で慰謝料請求をすると、勝手がわからないのでどうしても時間がかかってしまうものです。内容証明郵便を作成するのにも時間がかかるでしょうし、相手から返答があったらどのように回答すべきか検討しなければなりません。
相手とトラブルになり無駄な時間が費やされてしまうケースも多々あります。

10-6.労力がかからない

慰謝料請求に自分で取り組むと、大変な労力がかかるものです。
慣れない作業に手間取る方も多いですし、相手方との交渉にも手間が発生するでしょう。
弁護士に依頼してしまえばご本人はほとんど何もしなくても、待っているだけで慰謝料問題が解決します。
労力がかからなくなる点も弁護士に依頼するメリットの1つです。

10-7.ストレスが軽減される

不倫の慰謝料請求は大変なストレスのかかる作業です。特に相手方から反論されると感情的になり、言い争いになってしまうケースも多々あります。
慰謝料問題が頭に引っかかってうつ病になってしまう方もおられます。
弁護士に依頼してしまえば自分で慰謝料トラブルに対応しなくて良くなり、精神的ストレスも大きく軽減されるメリットがあります。

10-8.有利な条件で解決しやすい

自分で交渉や訴訟を進めても、相手より優位に立つことは簡単ではありません。
特に相手が弁護士をつけると、こちら側が圧倒的に不利になってしまうでしょう。
弁護士に依頼すると、話し合いの段階でも訴訟の段階でもプロとしての適切な活動を行い、有利に進めてくれるものです。
自分で慰謝料請求するよりも好条件で解決できる可能性が高まるのも弁護士に依頼するメリットの1つとなるでしょう。

10章目:まとめ

横浜クレヨン法律事務所では、不倫や浮気トラブルに力を入れて取り組んでいます。夫や妻に不倫されて慰謝料請求を行いたい方は、一度お気軽にご相談ください。

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