浮気相手に慰謝料を請求するには?法律の専門家が解説します

著者情報

弁護士 鈴木 晶
一般の方々に、わかりやすく法律の知識をお届けしております。
難しい法律用語を、法律を知らない人でも分かるような記事の作成を心がけています。
不倫慰謝料に関する様々な悩みを持つ方々のために、当ホームページは有益な情報を提供いたします。

パートナーの行動が怪しいときに、もしかして浮気している?と、不安で頭がいっぱいになり、悪いとわかっていながらもパートナーのスマホを見てしまったとことありませんか?

スマホやタブレットの中は他人には見られたくない個人情報がたくさん詰まっています。スマホを勝手に見てしまったら罪に問われるのでしょうか?

この記事では、勝手に相手の携帯やパソコンを見てもセーフなのかアウトなのかを法律的に解説していきます。

この記事でわかること
・謝罪をして慰謝料が減額になるケース
・携帯電話のチェックに関する法律がわかる
・パートナーの携帯を勝手に見たら違法になるかわかる
・パートナーの携帯チェックをするリスクがわかる
・携帯チェックで浮気や不倫が発覚したらどうすればいいのかわかる

「夫(妻)が浮気(不倫)をしているかもしれない。」
と浮気・不倫を疑ってパートナーの携帯電話やスマートフォン(スマホ)を無断で盗み見ることがあります。

では、このような相手の携帯電話やスマホを無断で盗み見る行為は法律的にどんな問題があるのでしょうか。

信書開封罪

よくある問題点としては、「勝手に携帯電話やスマホのメールやLINEを盗み見る行為は犯罪ではないのか。」というものです。

この点について該当する可能性があるものとしては「信書開封罪」があります。

刑法第133条「信書開封罪」
「正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と規定しています。

携帯電話やスマホに届いたメールやLINEを盗み見た行為がこの「信書開封罪」にあたるのではないかという問題です。

この点について、刑法第133条にいう「信書」とは、「特定の人から特定の人にあてられた意思の伝達を媒介する文書」をいいます。

そして、この信書が「封をしてある」ものであることが信書開封罪の要件となっています。
これに対して、携帯電話やスマホに届いたメールやLINEは封をしているわけではありません。

したがって、携帯電話やスマホに届いたメールやLINEを勝手に盗み見たとしても、この信書開封罪には該当しないということになります。

不正アクセス禁止法違反

次に問題になるのが、他人の携帯電話やスマホに保存されているメールを勝手に見る行為が「不正アクセス禁止法違反」にあたるかという点です。

不正アクセス禁止法が該当するのは、 「他人のパスワードを用いて他人のサーバーに勝手にアクセスする行為」です。

つまり、他人の携帯電話やスマホに保存されているメールやLINEの画面を呼び出して盗み見る行為自体は、不正アクセス禁止法違反にはあたりません。

ただし、IDやパスワードを不正に入手して勝手にログインした場合には不正アクセスに当たる可能性が高いといえます。

この不正アクセス禁止法違反に該当する場合には、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることになります。

プライバシー侵害

携帯電話やスマホに保存されているメールやLINE、通話履歴、電話帳などはすべて個人のプライバシーに関する情報です。

したがって、他人の携帯電話やスマホを勝手に盗み見る行為は、 他人のプライバシーを侵害する不法行為に該当することになります。

したがって、民法709条により、損害賠償として慰謝料を支払わなければならなくなります。

浮気や不倫の証拠

それでは勝手に盗み見て入手した場合には浮気や不倫の証拠となるのでしょうか?
例えば、妻の不倫を疑った夫が妻のスマホを盗み見した際に発見した不倫相手とのメールのやりとりを不貞行為の証拠として提出した場合、裁判所は不貞行為の存在や慰謝料算定の根拠として採用するのかという問題です。

この点については、原則として証拠になります。

たしかに、他人の携帯電話やスマホを盗み見る行為はプライバシーを侵害するという意味では民事上の損害賠償請求の対象となります。

しかし、犯罪行為によって入手した証拠ではありませんし、反社会的な方法(例えば、相手を脅迫したうえで携帯電話を入手してメールなどを確認したり、不倫相手の自宅に侵入して携帯電話を盗んだりした場合など)でない限り、プライバシーを侵害するといっても違法性の低い行為であると考えられることから、裁判所は証拠として採用します。

もっとも、 「証拠として採用する」ということと「証拠として信用できる」ということは別問題です。

証拠として採用するというのは、裁判所が証拠として提出することを認めるという意味であって、その証拠が提出されたからといって不倫や浮気があったことが直ちに認められるわけではありません。

裁判所は、通話履歴やメールだけではなく、その他の事情や証拠なども踏まえて、不貞行為があったか否かを判断することになります。

2章目:パートナーの携帯を勝手に見たら違法になる?

パートナーが浮気をしているかも知れないと思ったら、何とか浮気の事実を掴めないか、パートナーの携帯を見ることができないかと考えるでしょう。

ここでは相手のスマホや携帯を勝手に見た場合、どこまでが違法行為にあたる可能性があるかを解説します。

ロック解除は違法?

画面がロックされた携帯電話にパスワードを入力して解除することは、刑法上には犯罪として定められていません。よって、携帯電話のパスワードを解除して写真等をのぞき見ること自体は、犯罪には該当しません。

しかし外部からオンラインで解除する場合などは、不正アクセスに当たる可能性がありますので、ご注意ください。

例えば、相手のLINEアカウントのロックを不正な形で外してアカウントにアクセスし、これを盗み見た場合、前述した不正アクセス行為として処罰対象となる可能性があります。

相手に届いたメールを勝手に見るのは違法?

携帯電話に届いたメールをチェックすることについても、刑法上には定めがありません。よって、相手に届いたメールを勝手に見ても犯罪にはなりません。

注意点「信書開封罪」
前述した通り、携帯電話やスマホに届いたメールやLINEは封をしているわけではないので
「信書開封罪」にはあたりません。しかしこの法律は、携帯電話が普及する前に定められたものです。今後はメールの盗み見についても犯罪として定められる可能性がありますので、法律改正のニュースには十分注意しておきましょう。

Googleなどにログインした場合は違法?

GmailやYahoo メールなども、 IDやパスワードでログインをしてクラウド上のメールサーバーにアクセスすることになるため、不正アクセス禁止法に問われる可能性があります。

Googleメールを閲覧するためには、ネットワーク経由でパスワードを入力して、アカウントにログインしなければいけません。つまり、携帯に直接届いたメールとの違いは、「ネットワーク経由でパスワードを入力するかどうか」です。

このように他人のアカウントに無断でログインする行為は、「不正アクセス禁止法」に違反します。

不正アクセス禁止法とは、元々フィッシング詐欺やウィルス対策のために作られた法律です。この法律では、 「他人のアカウントやパスワードを無断で使用して、他人の情報を盗み取る行為」を禁止しています。

夫婦間の場合においても、無断で他人のアカウントにログインする以上は、犯罪に該当します。違反した場合は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となります。

LINEなどのSNSを見るのは違法?

LINEなどのSNSを閲覧するには、他人のIDやパスワードが必要となります。他人のアカウントに無断でログインすることになりますので、GoogleやYahoo!などにログインした場合と同様に不正アクセス禁止法に抵触します。

違反すると、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課せられます。

3章目:弁護士の浮気調査ではどこまでのチェックが可能?

浮気調査を依頼する先は探偵か弁護士です。探偵の浮気調査は尾行、張り込み、聞き込みが基本ですが、弁護士の浮気調査は何ができて、何はできないのでしょうか。以下解説していきます。

尾行調査

まず、探偵と同様に弁護士は浮気相手の尾行もしてくれるのでしょうか。

結論としては、尾行までしてくれる弁護士はまずいないでしょう。弁護士は、探偵のように尾行のトレーニングを受けていませんし、もし尾行をするとなると拘束時間が長時間になり弁護士費用は高額になってしまうでしょう。

メールやLINE内容の取得

次に、配偶者と浮気相手とのメールやLINEのメッセージの内容を取得できるかについてです。

弁護士は弁護士会照会という制度を利用して、携帯電話会社などに照会して契約者の情報を取得することができます。しかし、メールやメッセージの内容はプライバシーの程度が高く、浮気調査のためとはいえ開示を受けられることはありません。

通話記録の取得

いつ誰とどれくらいの時間電話をしたかについて電話会社には記録があります。この通話記録は電話番号の契約者であれば取得することができますし、配偶者であれば開示を受けられることがあります。

しかし、弁護士といえども第三者が開示を求めても通話記録の開示を受けることはできません。

浮気相手の指名や住所の調査

浮気調査において弁護士ができる主な調査は浮気相手の氏名や住所の調査です。

浮気相手の電話番号がわかるのであれば、電話会社に対して弁護士会照会を行い、契約者情報である氏名と住所の開示を受けることができます。

また、車のナンバーがわかるのであれば、同様に運輸局に照会して車の所有者と使用者の氏名と住所の開示を受けることができます。

ただし、このような調査は浮気相手に対する慰謝料請求の依頼を受けている場合にのみ可能です。法律上、浮気調査だけを依頼することはできません。

4章目:パートナーの携帯チェックをするリスク

いくら気になるからといって無断でパートナーの携帯を勝手にチェックしてしまうと、さまざまなリスクが生じます。ここではパートナーの携帯チェックをするリスクを解説していきます。

反対に訴えられる可能性

まず前述した通り、プライバシー侵害として反対に損害賠償請求されてしまう可能性があります。

そして、さらにここで考えなければいけないのは、携帯電話の盗み見によって誰のプライバシーを侵害しているか、という問題です。

メールの受信内容を読むことは、携帯電話の所有者であるパートナーはもちろん、そのメールの送り主のプライバシーも侵害していることになり得ます。

例えば、あなたが親友へ送った深刻な悩み相談や、切羽詰った状況での真剣な会話が、会ったこともない親友のパートナーにも勝手に見られてしまったとしたら、決して心中穏やかではいられないことでしょう。

携帯電話の盗み見によって被害を受けるのは、決してその所有者だけではないということを常に、念頭に置いておかなくてはいけません。

このようなことをふまえると、刑事罰に問われるわけではないとはいえ、例えば浮気や不倫を疑った場合に、夫や妻の携帯やパソコンを勝手に見るという行為は、法律上の責任を追及されるリスクもありますし、道徳、倫理的な観点でも容認されがたいといえるでしょう。

また、罪に問われる可能性のある行為もあります。

罪悪感が残る

携帯で見た浮気の証拠をパートナーに突き付ければ、彼は浮気を認めざるを得ないかもしれません。
しかし、あなたが勝手にパートナーの携帯を見たという事実も、同時に告白することになりますから、あなた自身の立場も弱くなってしまうでしょう。

もしパートナーの携帯にそのような事実がなかったとしたら、罪のないパートナーを疑ってしまったのですから、パートナーの携帯を勝手に見たことであなたの心には罪悪感が残ってしまうでしょう。

パートナーとの関係性が悪化する

パートナーの携帯電話やスマホを盗み見する人のほとんどが、自分の携帯電話やスマホをパートナーに見られることを嫌がるでしょう。

それは、プライバシーを侵害されたからという点もあるでしょうが、それ以上に、自分がパートナーに疑われたという事実そのものを腹立たしく思うからです。

つまり、他人の携帯電話やスマホを盗み見るという行為は、自分がされたら許せないことを他人に対してやっていることを意味します。

そして、その行為の根底にあるのは、夫や妻、彼氏や彼女のことを「信用していない」ということです。

携帯電話やスマホを盗み見された方にとっては、何ら疑われる余地も筋合いもないのに、「不倫しているのではないか」「浮気しているのではないか」「二股をかけられているのではないか」というあらぬ疑いをかけられていること、つまり「信用されていない」ということを行動で示されたことを意味します。

夫婦関係でも交際関係でも、お互いを信用しあっていなければその関係を維持することはできません。

自分が信用している相手から、実は浮気や不倫を疑われていたということがわかった場合、相当大きなショックを受けるのではないでしょうか。

そして、そのことが原因でお互いの信頼関係に亀裂が生じてしまい、結果的には離婚や破局などの事態にまで発展しかねません。

携帯で見つけられるのは状況証拠

携帯をチェックして見つけられるのはあくまでも状況証拠です。離婚裁判や慰謝料の請求などにおいて証拠として使えるとは限りません。

また、本人の同意なく携帯電話やスマホなどの中身を勝手に見ると、違法行為になってしまう可能性があります。 ある程度疑惑が固まったら、専門家に浮気調査を依頼して、動かぬ証拠を集めたほうがよいといえるでしょう。

5章目:こんなパートナーの行動は浮気しているかも

「もしかすると、浮気をしているのかも」。

なんとなく、パートナーに怪しい気配があるけれど、それが浮気かどうかわからないというケースはたくさんあります。では、実際にどんな行動が怪しいのでしょうか。よくあるパターンを解説していきます。

携帯電話にロックをかけている

浮気をしている場合の行動パターンとして、スマホや携帯電話に対して警戒心が強くなります。

突然パートナーが携帯電話のロックをかけ始めたり、今まで指紋認証が許可されていたのに、認証が通らなくなったりすることがあるかもしれません。何か隠したいものがあるということで、浮気している際の行動パターンだと言えます。

位置情報をONにしていない

iPhoneでは、位置情報サービスが利用できます。スマホのアプリを利用すれば、相手がどこにいるのかいつでも確認できます。

やましいことをしていなければ、自分が何時どこで何をしていたかを位置情報から問いただされでも、何も問題ないはずです。位置情報を意識的にOFFにしていた場合、なにか後ろめたいことをしている行動といえるでしょう。

どこに行くにも欠かさずに携帯電話を持っている

浮気をしている方は、どうやっても浮気相手と内密に連絡を取ります。そのため、スマホや携帯電話を置き去りにせず、常に手元に持っている行動がみられるでしょう。

よく言われる怪しい行動が、「トイレや浴室にスマートフォンを持ち込んでいる」というものです。肌身離さずスマホや携帯電話を持ち歩くのは浮気している際の行動パターンの
典型です。

携帯に触れている時間が長い

浮気をしているときの代表的な行動のひとつが、スマホを手放さないことでしょう。メールやLINEで浮気相手と連絡を取っているケースが多いため、家にいるときでもしょっちゅうスマホを見ている時間が増えます。

携帯に触れている時間が長くなり、自分以外に画面を見られたり操作されたりするのを極端に嫌がるようになった場合は注意が必要でしょう。

6章目:携帯チェックで浮気や不倫が発覚したら

携帯チェックで不倫の事実が明らかになった場合は、次のような対応をすることをおすすめします。

どの対応を取るかは、ご自身のお考え、現在の状況や今後の生活などによっても変わってきます。どうすればよいか悩まれる場合は、多くの案件を見ている弁護士などの専門家に相談してみるのがよいでしょう。

証拠を保存しておく

浮気相手とのLINEのチャット履歴やメールがあれば、まずは自分のスマホで証拠として撮影しておきましょう。自分のスマホで撮影して残しておけば、裁判で不貞行為の証拠として採用されることが多くなります。

メールやLINEのチャット履歴だけでは、裁判で不貞行為を証明する証拠としては弱い場合もありますが、他の証拠と組み合わせて、不貞行為があったことを裁判所に認めさせることができます。

別れる

どんなに相手のことを愛していても不倫は絶対許せないという場合は、すっぱりと別れてしまった方がいいでしょう。

もし離婚をするとなった場合は、法律上不倫は立派な犯罪行為なので慰謝料を請求できる場合があります。

弁護士に相談する

浮気の証拠=不貞行為の証拠なので、携帯の記録や浮気相手とのツーショット写真だけでは証拠として不十分です。

裁判で使える浮気の証拠を見つけることは素人では難しいので、その場合弁護士に依頼するのがいいでしょう。依頼する際はまず無料相談からお願いすれば色々と相談にも乗ってもらえるので安心です。

7章目:まとめ

パートナーの携帯から浮気の実態をつかもうとする行為は、違法性を帯びる可能性があり、自身で行うと、逆に訴えられるリスクを負う場合もあります。また、他人の携帯電話やスマホを盗み見るということは、相手のことを信用していないという気持ちを行動に移しているということを意味してしまいます。

スマホや携帯から浮気を調査、または発覚してしまった場合は、プロに依頼・相談することをおすすめします。自分に有利になる証拠を適切に集めてくれますし、裁判で認められやすい有効な法的に認められた証拠を提示してくれるので、迷ったときは相談するといいでしょう。

横浜クレヨン法律事務所では・・・

あなたの置かれている状況をお聞かせいただければ、知識や経験を有する弁護士が解決へ向けて真摯にご対応いたします。不倫・浮気問題でお悩みの方は、ぜひ横浜クレヨン法律事務所にご相談ください。

LINEで無料相談
メールで無料相談